水分の摂取量 正しい答え 適切な水分摂取量を漢方の視点から考えてみようと思います。漢方の視点から水分摂取について考えてみると、次のようになります。
水分の摂取量 正しい答え
漢方では、人体の生理や病理を「気・血・津液( しんえき )」という概念でとらえますが、この 3 つのバランスが崩れてしまったときに人間は慢性病にかかるといわれています。つまり、そのバランスを整えると慢性病なども改善すると考えられているのです。
医療機関では、漢方薬も一般的な薬と共に処方されるようになってきました。漢方の力を、西洋医学も必要としているのです。
漢方での水のとらえかたは、次のようになっています。
・気 ( き ) ・・・ 広義には生命力、狭義には精神的なエネルギー
・血 ( けつ ) ・・・ 体を滋養する働きの総称
・津液 ( しんえき ) ・・・ 水
津液( しんえき )とは、汗、涙、よだれはもちろんのこと血液やリンパ液、消化液、細胞内の水分までを含んだ広い概念をいいます。もっと細かくいえば、「津」は比較的薄くて透明な液体成分で、体の組織や皮膚に栄養と潤いを与えているもの、「液」は濁って粘りがあり、関節を潤したり脊髄液などを構成するもの、になります。このふたつは互いを利用しあいながら一緒に全身を駆けめぐり、五臓六腑の健康を維持していて、津液のバランスがとれていれば体の健康を保たれるわけで、その際に大切なのは適正な水分量です。
水の不足によるマイナス効果
下痢などで体が脱水状態になれば津液が不足し、目が津液不足になればドライアイになり、鼻やのどの場合ならば、乾燥して風邪をひきやくなる。肺が乾けば咳が出やすくなるし、皮膚ならば皮膚炎を起こし、アトピー性皮膚炎も悪化することになる。また、腸ならば便秘になるというわけです。
適正な水分量は生活スタイルや、汗、尿、便の出方、食事のとり方、水分摂取の方法によって都度変化しますが、このあたりも考慮していく必要があります。
適正な水分補給が重要であると話しましたが、水を多量に摂取する必要があるのは
- 大量の汗をかいた
- 運動をして汗をかいた
- 急性の熱病で脱水になりかけている
- 急性膀胱炎
- 急性腎炎
- 胆石
といったときです。このようなときは、水の飲み過ぎを心配するよりもとにかく飲むほうが先決の状態です。
水の過多によるマイナス効果
津液( しんえき )のバランスという観点から見ると、例えばむくみやすい人や夜中に何度も目を覚ますような人は水分摂取過多ということになり、これは津液が滞っているということを表します。水分過多の状態の人がむやみに水をたくさん摂取してしまっては逆効果になります。むくみやすくて体の水腫を取り除く場合には、解毒や利尿作用のある アズキ = 赤小豆( せきしょうず )やハトムギ茶を飲むとよいです。
ひとりひとり体質が違うため、現れる症状もそれぞれ違いますから、水分摂取もそれぞれになって当然だと考えます。漢方での「水は命の源」という考え方に一点の曇りもないのは事実です。
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